インテリア業界のトレンドと今後のこと

こんにちは。マーケティングチームの山内です。普段はこのしせいノートの編集をしたり、データの分析や施策プランニングをしています。さて、今回はインテリア業界についてのトレンドや今後についてをすこし考えていきたいと思います。なぜこのタイミングでインテリア業界を取り上げるかといいますと、やはり新型コロナウイルスの影響があります。あらゆる業界が今まで経験したことがないような被害を受けている中、人々の暮らしやライフスタイルは自粛期間によって大きく変化してしまい、家で過ごす時間が増えたことで、インテリアが持つ役割や重要性も増してきています。そこでインテリア業界の現状を見ていくことで、現在インテリアショップや業界に携わっている人はもちろん、これから目指そうとしている人にも何かのご参考にしていただけたらと思います。

上位企業の売上規模は?

まずはインテリア業界のおよその売上規模から見ていきましょう。業界動向サーチによりますと、2018 年 – 2019 年のインテリア業界の業界規模(主要対象企業 8 社の売上高の合計)は 1 兆 3,999 億円。

下記は上位 8 社とその売上高(単位:億円)です。 ※以下敬称略

  1. ニトリHD(6,081)
  2. 良品計画(4,096)
  3. 島忠(1,462)
  4. コクヨ(1,300)
  5. ナフコ(462)
  6. 大塚家具(373)
  7. カッシーナ・イクスシー(124)
  8. ミサワ(101)

※コクヨはファニチャー事業、ナフコは家具・ホームファッション事業の売上高。

前の年度から特に数字を伸ばしているのは、”ニトリ”でおなじみの『ニトリHD』、”無印良品”や”MUJI”ブランドを展開する『良品計画』、イタリアの高級家具メーカー”カッシーナ”の正規輸入代理店でライセンス生産も行う『カッシーナ・イクスシー』、そしてライフスタイルショップ“unico”を展開する『ミサワ』の 4 社。

もちろんこの売上高にはインテリア以外の売上も含まれていますし、主要 8 社の数字だけでインテリア業界を語ることはむずかしいのですが、それでもある程度のトレンドや現状を知ることはできそうです。

 

インテリア業界の現状

インテリア業界は過去 10 年以上ずっと堅調に伸びてはいるものの、先ほどの売上高や 33 期連続増収増益中の実績からもわかるように、今や『ニトリHD』が業界全体を席巻しています。上位 8 社の売上シェアのうち、全体の約 43 %を占めるのがニトリHD という、まさに独走状態。

その主な事業内容は、家具の販売を「ニトリ(国内 545・海外 66 店舗)」、家具以外の生活雑貨からホームファッションまでは「デコホーム(国内 97 店舗)」、そして大人向けレディースファッションの「N+(エヌプラス)」を今年は 10 店舗まで増やす計画で、これらのブランドをすべてオンラインサイトでも展開するなど、その勢いとジャンルを超えた事業展開はもはやインテリア業界だけにとどまりません。
(※店舗数は2020年4月20日時点でのもの。参考元:株式会社ニトリ月次国内売上高前年比推移

さらにこのコロナ禍においても、先日の決算発表では来期も増収増益予想とのニュースが話題になりました。コロナの影響はまだ未知数な部分が多いとはいえ、ニトリHD の堅実な成長ぶりからいくとあり得ない話ではないかもしれません。

 

良品計画の誤算

ここで忘れてはいけないのが、無印良品をはじめとしたMUJI ブランドを擁する『良品計画』です。
独自のブランド戦略や積極的な海外進出などで毎年売上を伸ばしており、19年3~11月期の国内事業の営業収益は、前年同期比 8.8 %増の 2057 億円と好調ぶりがうかがえます。

しかし、その内容には不安材料がないわけではありません。「衣服・雑貨」が大きく伸びてはいるものの、主力である「生活雑貨」が伸び悩み、「家具」にいたっては売上が前年同期比 1.7 %減と落ちてしまっているからです。そしてこのジャンルでの市場シェアを拡大しているのは、先ほどのニトリHD。
良品計画の強みであるジャンルレスな事業展開を、今ではニトリHD も得意としはじめています。その価格帯や品質には近しい領域もあり、今後家具や生活雑貨だけではなく、さまざまなジャンルで両者の競争が激しくなることが予想されます。

さらに誤算だったのは、順調だった海外展開を今回の新型コロナウイルスが直撃したことです。店舗数はすでに国内 437 店舗を上回る、海外 533 店舗。(※2020年2月時点。参考元:株式会社良品計画 IR情報・財務ハイライト

しかもその多くは東アジア、特に 5 割以上の店舗が中国へ集中しています。これまでの積極的な店舗拡大路線やホテル事業などは思わぬ逆風に見舞われており、一時は半数以上の店舗の臨時休業を余儀なくされるという状況でした。ただし、中国をはじめ東アジアのいくつかの国々はすでに自粛規制解除に動きつつあり、経済活動の回復も日本より早い可能性があります。それでもしばらくは、事業計画の見直しに影響がでるのは間違いなさそうです。

そして、そういった事業の見直しに影響がでるのは他の上位企業をはじめ、私たちのような業界内の小さな企業も同じだと思っています。今回のコロナショックによって、人々の暮らし方はすでに変化してしまっています。もう以前のようなライフスタイルとは違う、新しいライフスタイルを模索しながらウイルスと共存していく必要があるからです。

 

インテリア業界の今後

ここまで上位 2 社の状況をみてきましたが、これは単純にニトリと良品計画のシェアの奪い合い、という構図ではありません。この 2 社はそもそもブランド戦略が違うため、ある程度までは競合するでしょうが、その後は一定のシェアを分け合いながら共存していくのではと思います。

なぜなら、良品計画は”感じ良い暮らし”の実現を掲げてこれまでコアなファンを獲得し、ファン層を拡大しながら安定した成長に繋げてきました。MUJI ブランド特有の、シンプルで自然を大事にした世界観へのファンは多く、それこそ世界中に広がっています。
つまり、同じような価格で同じような品質の商品が何社からも発売されていた場合、無印ファンは迷わず無印良品の商品を選ぶはずです。それはもちろん MUJI ブランドが好きだからであり、その世界観に共感しているという意思表示をファンたちは惜しまないからです。これはブランディングの観点からいっても、他の企業にはない独自のブランド力が無印良品の強みだと思います。ですので、明らかな価格競争の分野では不利にもなるでしょうが、そうではない場合、MUJI ブランドのファンが急にいなくなるとは考えられません。

ニトリHD と良品計画は、よほどの価格差や品質の違いがでない限り、しばらくは両者とも売上を伸ばしつつ共存していくはずです。そのかわり、市場規模までもがどんどん拡大していくわけではありませんので、特に国内インテリア業界においては、その他の中小企業はますます厳しい状況になる可能性があります。つまり、両者を中心とした一部の上位企業にこれからもシェアを奪われていくのは、それ以外のたくさんの中小企業かもしれないからです。

 

最後に

最後に、売上を伸ばしている他の企業の特徴もみてみましょう。

昨年度でいえば、ニトリHDと良品計画の他に、『カッシーナ・イクスシー』と『ミサワ』が順調に売上を伸ばしています。カッシーナについては言わずと知れたイタリア高級家具メーカーの王様であり、品質や価格は最高水準で、富裕層を中心に知名度や長年の信頼を獲得しているのが特徴です。

一方のミサワは、ライフスタイルショップ”unico”のセレクトセンスや、おしゃれで親しみやすい世界観へのファンがたくさんいます。さらに SNS の積極活用も特徴的で、これからインテリアに興味をもつような新規層や若い世代にも受け入れられやすい環境がしっかり整っていると思います。

これらの企業を価格帯でざっくり分けてみると、業界内の低価格帯にはニトリと無印良品、高価格帯ではカッシーナ、中価格帯には unico と、それぞれ棲み分けが出来ているのがわかります。同時に感じるのは、それぞれの価格帯で成長できる企業というのは、ほんの一握りということかもしれません。

しかし、こういった傾向が今後も続くかどうかは正直わかりません。例年であれば今後もこういった状況が続くのではと言えましたが、今回のコロナウイルスが今後の人々のライフスタイルにどう影響してくるのかが現時点では予測しづらいからです。テクノロジーの発達や製品のコモディティ化もさらに進んでいくことを思うと、インテリア業界のみならず、他の業界でも今までになかったようなパラダイムシフトが起きる可能性はあります。これまで無名に近かった企業が一気に売上を拡大するようなシーンも、これからは十分あり得ると思います。

何にせよ、企業として今できることは、これまで以上にお客様へ提供できる価値を追及しつつ変化に対応していくことだと思いますし、これからインテリア業界に参入してショップを始めてみたい、もしくは業界で働いてみたい方にも、今回の内容がすこしでも参考になれば幸いです。

昨年の雑貨業界についての記事も、興味のある方はぜひチェックしてみてください!
雑貨業界のトレンドと今後のこと

 


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