【それぞれの秋支度】アラスカの匂い

旅をする木

こんにちは、スタッフの山内です。
ようやく夏が終わって、日中も過ごしやすくなってきました。この時期になると私にはすこし変わった習慣があって、今日はそのことについてお話したいと思います。

旅をする木

それはこの時期になると、かならず一冊の本を手に取ってしまうことです。
半袖で過ごすには肌寒いけれど厚手の上着を羽織るほどではないような、そんな日がやってくると私は無性にその本を読み返したくなります。

その本のタイトルは「旅をする木」。
写真家の星野道夫さんによって 1999 年に出版されたエッセイ集です。そこには星野さんが生涯をかけて愛し続けた、アラスカの美しい原風景や動物たちの息を飲むような躍動が綴られています。しかもそれらの様子が写真ではなく、星野さん自身の素朴で滋味にあふれた文章によってしたためられているので、まるで同じ風景を一緒に体験しているかのような不思議な感覚に包まれていきます。緊張感がありつつもどこかおかしみのあるストーリーの数々は、さらに想像力をかき立ててくれます。

マグカップいっぱいのコーヒーを手にソファーへ座れば、あとは本に収められた 33 編のエピソードの中から気の向くままにページを繰っていくだけです。そして気がつけば、いつの間にかアラスカの壮大な風景が目の前に。

ある時は北極圏のブルックス山脈を歩いてみたり、カヤックで海を旅しながら氷河のきしむ音に耳を澄ませたりします。またある時には、エスキモーの人々とアザラシの皮で作ったボートを漕ぎ、インディアンの村では太古の暮らしに想いを馳せ、カリブーの季節移動を追って数え切れないほどのオーロラを見上げます。白夜の雪原で出会ったオオカミの足跡も、静まり返った入り江で聞いたクジラの鳴き声も、秋の山を歩きながら頬ばったブルーベリーの実も、目の前の原野を染める輝くような紅葉も、そこには思いきり吸い込みたくなるような自然の匂いまでもが、豊かな景色と共に存在しています。

あわただしく過ぎる日々に

コーヒーとソファー

たくさんあるエピソードの中から、私の好きな一節もご紹介したいと思います。

無窮(むきゅう)の彼方へ流れゆく時を、めぐる季節で確かに感じることができる。自然とは、何と粋なはからいをするのだろうと思います。一年に一度、名残惜しく過ぎてゆくものに、この世で何度めぐり合えるのか。その回数をかぞえるほど、人の一生の短さを知ることはないのかもしれません。

参照:『旅をする木』「北国の秋」より

この本はいつも、自分の大事な感覚に触れるきっかけになってくれている気がします。あわただしく過ぎる都会の暮らしに慣れてしまうと、日常のひとつひとつの出来事に“匂い”を感じなくなってしまって、いつの間にか記憶をたどれなくなるような気持ちになるからです。

そしてこれからも、肌寒い朝がくるとこの本を手に取りたくなるんだと思います。秋のはじまりに、アラスカの匂いを確かめたくなって。

 


【この記事でご紹介した本】

旅をする木 (文春文庫)
著者:星野 道夫
出版社:文藝春秋

広大な大地と海に囲まれ、正確に季節がめぐるアラスカ。1978年に初めて降り立った時から、その美しくも厳しい自然と動物たちの生き様を写真に撮る日々。その中で出会ったアラスカ先住民族の人々や開拓時代にやってきた白人たちの生と死が隣り合わせの生活を、静かでかつ味わい深い言葉で綴る33篇を収録。
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▶︎▶︎星野さんのプロフィールはこちら→星野道夫事務所公式サイト

 


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